抄録
〔目的〕人工膝関節全置換術(TKA)後3ヵ月までの膝伸展不全(Lag)の推移を調査し,術前の膝伸展可動域 (ROM)との関連性を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象は,両側性内側型変形性膝関節症と診断され,初回TKAを施行した22名とした.Lagは術後1週,2週,3週,4週および3ヵ月に計測を行った.術前における術側の膝関節痛,両側の膝屈曲・伸展ROM,両側のFTAを説明変数とし,術後3ヵ月のLagを目的変数とする階層的重回帰分析を行った.〔結果〕術後1週で19名(86.4%),3ヵ月で9名(40.9%)に5°以上のLagを認めた.術後3ヵ月のLagには,術前における術側の膝伸展ROMが有意に寄与した.〔結語〕TKA後3ヵ月のLagには,術前の膝伸展ROMが関連することが示唆された.