2017 年 32 巻 1 号 p. 39-43
〔目的〕投球障害肩症例における肩関節機能を投球側と非投球側の間で比較した.〔対象と方法〕対象は野球投手の男性44例とした.肩甲上腕関節ならびに肩甲胸郭関節に対する肩関節機能(可動域7項目,筋力13項目)を投球側と非投球側の間で比較した.〔結果〕投球側は非投球側に比べ,上腕骨頭後捻角度,補正外旋角度は有意に大きく,一方,補正内旋角度,Horizontal Flexion Test,Scapular Retraction Test,inner muscle筋力,僧帽筋下部線維筋力は,有意に低い,あるいは小さかった.〔結語〕投球障害肩症例にみられた, 投球側と非投球側間での可動域や筋力に関する肩関節機能の特徴的な相違は,これと投球動作時の肩関節痛との深い関連性を示唆する.