抄録
〔目的〕介護老人保健施設で生じた転倒・転落の事故を3年間に渡り,後方視的実態を把握することである.〔対象と方法〕介護老人保健施設で転倒・転落した285事例を対象とした.転倒・転落の状況を調査し,軽度要介護者と重度要介護転倒者との比較を行った.〔結果〕転倒・転落のリスクが高いものは,要介護3~4,女性で80歳代,認知症と骨関節系疾患を有し,下肢筋力低下,下肢の関節拘縮,疼痛が生じており,車椅子使用にて日常生活に一部介助を要するものであった.〔結語〕重度要介護者の転倒・転落も多いことが示唆され,転倒対策の一助になりうる.また,非転倒者間での比較は今後の検討課題である.