2017 年 32 巻 2 号 p. 211-214
〔目的〕眼球運動が立位姿勢制御に及ぼす影響を検証した.〔対象と方法〕健常成人10名を対象とした.固定した視標を注視させる固視条件,滑動性眼球運動を行わせる滑動性条件,衝動性眼球運動を単純反応課題で行わせる衝動性条件,および衝動性眼球運動を選択反応課題で行わせる選択衝動性条件の4条件で立位の重心動揺を比較した.〔結果〕選択衝動性条件での総軌跡長は衝動性条件と比較して有意に小さかった.滑動性条件での総軌跡長と外周面積は他の3条件よりも有意に大きかった.〔結語〕眼球運動による立位姿勢動揺への影響は運動準備過程における認知的負荷の影響よりも,眼球運動制御の違いによる眼球運動と姿勢制御との協調の違いを反映したものと考えられる.