理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
32 巻, 2 号
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原著
  • 佐藤 巧夢, 福島 沙季, 石川 真喜, 西山 成美, 正保 哲, 中俣 修
    2017 年 32 巻 2 号 p. 159-163
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕足関節底屈筋レジスタンス運動前後の血行動態の変化について検討すること.〔対象と方法〕若年健常男性19名とした.座位での足関節底屈運動中の血行動態を,運動強度を変えて非侵襲心拍出量計を用いて測定した.〔結果〕80%負荷強度は,心拍数・心拍出量・末梢血管抵抗で運動前と運動中の間,および運動中と運動後に,心拍数・平均血圧・末梢血管抵抗・1回拍出量で運動前と運動後の間に有意な変化を示した.〔結語〕レジスタンス運動では,運動前後の末梢血管抵抗や運動後の血圧,1回拍出量の変化に注目する必要があることが示唆される.
  • —筋萎縮抑制効果の経時的変化に関して—
    久保 あずさ, 上野 勝也, 宮地 諒, 山崎 俊明
    2017 年 32 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕廃用性萎縮筋に対する間歇的伸張運動の筋萎縮抑制効果を,経時的および長軸部位別に検討すること.〔対象と方法〕対象は,8週齢Wistar系ラットのヒラメ筋とした.通常飼育をするC群,後肢懸垂を行うHS群,後肢懸垂中に伸張運動を行うST群に分けた.さらにそれぞれ0・3・7・10・14日時点に群分けした.実験期間終了後,筋の近位・中央・遠位部で凍結切片を作成,HE染色を行い,筋線維横断面積(CSA)を測定した.〔結果〕伸張運動開始14日目でHS 群のCSAがST群と比較し有意に高値を示した.また,14日目のST群で,中央・遠位部での筋線維横断面積の減少率がHS群に比べて小さかった.〔結語〕廃用性萎縮筋は伸張運動により経時的に変化し,萎縮抑制効果は長軸部位により異なることが示唆された.
  • 櫻井 陽子, 武市 尚也, 杉村 誠一郎, 飯島 節
    2017 年 32 巻 2 号 p. 171-175
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕下肢筋力は最大一歩幅や歩行に大きく関与する.股関節屈曲筋群,膝関節伸展筋群,足関節底屈筋群に着目し,最大一歩幅と歩行におけるそれぞれの役割の変化を加齢的側面から調査することとした.〔対象と方法〕女性77名を対象とし,若年者群,前期高齢者群,後期高齢者群,超高齢者群の4群に分類し,身体機能や動作能力において検討した.〔結果〕最大一歩幅と最大歩行で,若年者群は股関節屈曲筋群,前期高齢者群は膝関節伸展筋群,後期高齢者群は膝関節伸展筋群および足関節底屈筋群と有意な相関がみられたが,超高齢者群では有意な相関はみられなかった.〔結語〕歩行や最大一歩幅において相対的に大きな役割を担う筋群は,加齢に伴い変化していくことが示唆された.
  • 平井 達也, 吉田 大輔, 島田 裕之
    2017 年 32 巻 2 号 p. 177-181
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,高齢入院患者におけるサルコペニアの実態調査,サルコペニアと栄養,ADL能力および認知機能との関連を検討することである.〔対象と方法〕高齢入院患者60名(82.8 ± 7.5歳)を対象とし,SMI値からサルコペニア有症群と非有症群を分類した.調査項目は疾患名,入院病棟,入院期間,入院時血液生化学的検査,入院時ならびに調査時(2013年12月)FIM,MMSEとした.〔結果〕サルコペニア有症率の男女差はなく,病棟型別,疾患別の比較では有意差があった.ロジスティック回帰分析では入院時FIMが有意な変数であった.〔結語〕歩行が自立していない高齢入院患者のサルコペニアは入院時のADL能力と関連することが示唆される.
  • 井上 貴裕, 野中 紘士, 伊藤 健一
    2017 年 32 巻 2 号 p. 183-188
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕臥床時の呼吸機能に対するエアマットレスの悪影響の有無を明らかにすることである.〔対象と方法〕健常者群19名と胸郭コンプライアンス低下群10名に対して,エアマットレスと標準マットレスの2つの条件下で臥位にて測定された呼吸機能を比較した.測定項目は,一回換気量,分時換気量,死腔換気率,呼吸数,呼気時間,吸気時間,全呼吸時間,呼気平均流量,吸気平均流量,吸気における腹部の隆起が開始するタイミングの10項目とした.〔結果〕両群ともにすべての測定項目で,エアマットレス上臥位と標準マットレス上臥位の間に有意な差は認められなかった.〔結語〕エアマットレス導入は呼吸機能へ悪影響を与えないことが明らかになった.
  • —ロボットスーツHAL®を使用した練習方法の検討—
    清水 一生, 吉本 隆彦, 廣居 康博, 川木 雅裕, 佐藤 大地, 長澤 誠
    2017 年 32 巻 2 号 p. 189-194
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ロボットスーツHAL®を用いた歩行練習時の速度条件の違いが,練習後の歩行速度に及ぼす影響を明らかにすること.〔対象と方法〕当院回復期リハビリテーション病棟入院中の初発脳卒中患者13名とした.HALを装着し,快適速度での歩行練習と,速度を増加した歩行練習を1日おきに1施行ずつ実施した.評価は10 m歩行テストとし,各歩行練習の前後および高速度歩行練習の2日後に実施した.〔結果〕快適歩行速度での練習では変化を認めなかったが,高速度歩行練習後では,即時的,2日後ともに最大歩行速度の有意な改善を認めた.〔結語〕脳卒中者において,HALを用いて練習時の歩行速度を増加した方が,練習後の歩行速度の改善が得られやすいことが示唆された.
  • 野村 真, 前田 剛伸, 嘉戸 直樹, 鈴木 俊明
    2017 年 32 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕運動イメージの明瞭性の個人差が複雑性の異なる手指対立運動のイメージ課題における上肢脊髄神経機能の興奮性に及ぼす影響についてF波を用いて検討した.〔対象と方法〕対象は健常者30名とし,Vividness of Movement Imagery Questionnaireの得点結果より運動イメージの明瞭性の高い群,低い群にふりわけた.運動イメージ課題は複雑性の異なる3種類の手指対立運動とした.各群における安静試行と各課題の振幅F/M比の変化を比較検討した.〔結果〕振幅F/M比は運動イメージの明瞭性の低い群において安静試行と比較して課題2,課題3で有意に増加した.〔結語〕運動イメージの明瞭性の個人差が運動イメージ中の脊髄神経機能の興奮性の違いに影響を及ぼす可能性が示唆された.
  • 大泉 真一, 佐々木 賢太郎, 木村 剛, 矢代 郷
    2017 年 32 巻 2 号 p. 201-205
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕二重課題条件(dual task:DT)での歩行で高齢群と若年群のtoe clearanceの最小値(minimum toe clearance:MTC)と下肢関節角度の関連性を検討すること.〔対象と方法〕対象は高齢群15名と若年群15名とした.測定方法は三次元動作解析装置を用い,通常の歩行と,ディスプレイに映写された1桁の足し算を解答しながらのDT歩行をそれぞれ2回実施した.歩行中のMTC,および骨盤,股関節,膝関節,足関節の矢状面上の非利き足の下肢関節角度を抽出した.〔結果〕高齢群のMTCは股関節屈曲,骨盤前傾角度に負の相関関係が認められた.〔結語〕計算課題の付加により高齢者はディスプレイを注視するために骨盤を前傾することで,転倒リスクを高める可能性が示唆された.
  • 福尾 実人
    2017 年 32 巻 2 号 p. 207-210
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,要支援高齢者の栄養状態に影響を及ぼす因子が身体機能に加えて抑うつや閉じこもりと関連するかを検討することとした.〔対象と方法〕65歳以上の要支援高齢者39名とした.本研究では,栄養評価としてMini Nutritional Assessment-Short Form(MNA-SF)を用いた.このMNA-SFに影響を及ぼす因子を検討するために,年齢,うつ傾向,身体機能,閉じこもりを調査した.〔結果〕MNA-SFに影響する因子は過去1年間の転倒経験の有無,BMI,GDS5であった.〔結語〕要支援高齢者の低栄養には,身体機能よりも定期的なBMIの計測,うつ傾向を分析する必要がある.
  • 城野 靖朋, 金井 秀作
    2017 年 32 巻 2 号 p. 211-214
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕眼球運動が立位姿勢制御に及ぼす影響を検証した.〔対象と方法〕健常成人10名を対象とした.固定した視標を注視させる固視条件,滑動性眼球運動を行わせる滑動性条件,衝動性眼球運動を単純反応課題で行わせる衝動性条件,および衝動性眼球運動を選択反応課題で行わせる選択衝動性条件の4条件で立位の重心動揺を比較した.〔結果〕選択衝動性条件での総軌跡長は衝動性条件と比較して有意に小さかった.滑動性条件での総軌跡長と外周面積は他の3条件よりも有意に大きかった.〔結語〕眼球運動による立位姿勢動揺への影響は運動準備過程における認知的負荷の影響よりも,眼球運動制御の違いによる眼球運動と姿勢制御との協調の違いを反映したものと考えられる.
  • 勝又 泰貴, 竹井 仁, 林 洋暁, 市川 和奈
    2017 年 32 巻 2 号 p. 215-220
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕超音波画像を用いた筋膜移動距離と筋硬度測定の検者内および検者間信頼性を検討した.〔対象と方法〕対象者は,整形外科的既往のない健常成人10名20肢とした.腓腹筋外側頭部の,他動的な足関節背屈運動時の浅層および深層筋膜の移動距離と足関節0°位の筋硬度を超音波診断装置にて測定し,4日後に再度測定した.〔結果〕いずれも級内相関係数がalmost perfect(0.81~1.00)であり,Bland-Altman分析の結果,加算誤差,比例誤差を認めなかった.最小可検変化量の95%信頼区域は,検者内信頼性の浅層が0.24 mm,深層が0.34 mm,筋硬度が5.94,検者間信頼性の浅層が0.08 mm,深層が0.10 mm,筋硬度が1.54であった.〔結語〕本法による4日後の検者内・検者間信頼性は,ともに高いことが示唆された.
  • 伊井 公一, 山中 健行, 鈴木 一弘, 神野 祐輔, 山田 和政
    2017 年 32 巻 2 号 p. 221-225
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕歩行課題と起立‐歩行課題を行い,定常歩行に至る歩数を高齢者と若年者で比較し,過渡歩行時の特徴を調査した.〔対象と方法〕女性高齢者19名,健常若年女性10名とした.両課題の最速歩行時の歩幅,速度,起立‐歩行課題での前方重心移動速度,運動機能評価を比較した.〔結果〕歩行課題では差がなかったが,起立‐歩行課題では定常歩行に至る歩数は高齢者で1歩多かった.起立‐歩行課題での前方重心移動速度,運動機能評価で高齢者が有意に低下していた.〔結語〕起立‐歩行課題で定常歩行に至る歩数に違いがみられた.要因として前方移動速度の低下が影響し,その原因として加齢による運動機能の低下が影響を及ぼした可能性があると考える.
  • 深田 和浩, 網本 和, 藤野 雄次, 井上 真秀, 播本 真美子, 高橋 洋介, 牧田 茂, 高橋 秀寿
    2017 年 32 巻 2 号 p. 227-230
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕健常者におけるコンピュータソフトウェアを用いた主観的視覚垂直(SVV)の測定の信頼性を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は健常若年者12名とした.検者は画面上に提示された視覚指標を水平位から垂直方向へ回転させ,対象者が主観的に垂直だと感じた時点で止め,鉛直位からのずれを計測した.データは8回の平均値を採用した.一週間後に同一検者が再測定を実施し,級内相関係数(ICC11)と最小可検変化量の95%信頼区間(MDC95)を算出した.〔結果〕ICC11は,視覚指標の回転速度が3°/秒では0.87,5°/秒では0.93であった.MDC95は同順に0.8°,0.7°であった.〔結語〕ソフトウェアを用いたSVVの測定は,良好な信頼性からみて,今後臨床応用が可能であることが示唆される.
  • 榊原 僚子, 加藤 宗規, 飛田 美穂
    2017 年 32 巻 2 号 p. 231-235
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕入院透析患者に対し,足こぎ車椅子を使用し,歩行能力と日常生活活動に与える影響の有無を検証すること.〔対象と方法〕入院透析患者10名からなる対象者を2群に振り分け,非介入群は運動療法を,介入群は運動療法に追加して足こぎ車椅子走行を行った.期間は基礎水準期を8ヵ月間,介入期を13ヵ月間とした.評価は10 m歩行時間,6分間歩行距離(以下,6MD),Barthel Index(以下,BI)とした.効果項目にPercentage of Non over lapping Date(以下,PND)を用いた.〔結果〕PNDで効果ありと判定された介入群,非介入群の人数は,それぞれ6MDで3名,0名,10 m歩行時間で3名,1名,BIで1名,0名であった.〔結語〕介入群の歩行能力で一定の効果を得られることができ有効な手段であると考えられる.
  • 知念 紗嘉, 菅沼 一男, 金子 千香, 齋藤 由香里, 齋藤 孝義
    2017 年 32 巻 2 号 p. 237-241
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では外出頻度に着目し,3 mジグザグ歩行テストが高齢者の外出に必要な歩行能力を評価する指標として有用であるかを検討した.〔対象と方法〕対象は医療施設にて通院中の65歳以上の高齢者30名である.対象者を2群に分類し,3 mジグザグ歩行テスト,TUG,10 m歩行テストを独立変数として,多重ロジスティック回帰分析,さらに,2群の歩行速度のROC曲線から,3 mジグザグ歩行テストの最も有効な統計学的カットオフ値を算出した.〔結果〕外出頻度に影響する変数として,3 mジグザグ歩行テストが選択された.ROC曲線から3 mジグザグ歩行テストの最も有効な統計学的カットオフ値は11.1秒と判断された.〔結語〕カットオフ値を堺として外出歩行能力を有しているか否かの判別ができる可能性が示唆された.
  • 木村 文佳, 越後 あゆみ, 岩月 宏泰
    2017 年 32 巻 2 号 p. 243-247
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕医療介護関連職種に従事する女性職員の腰痛に関連する諸要因を明らかにすることを目的に質問紙調査を行った.〔対象と方法〕対象は青森県内の医療介護施設に勤務する女性職員139名(平均年齢41.9歳)で,有効回答数は98名(70.5%)であった.〔結果〕腰痛有する者は79名(80.6%)おり,30 kg以上の重量物を業務時間内の3分の1にわたって取り扱う者や月経不順を持つ者では腰痛を持つ割合が高かった.出産歴や授乳歴など女性のライフイベントの有無によって腰痛の有無に有意差は認めなかった.〔結語〕女性職員の腰痛には業務内容と月経状況が関与していた.
  • 大岩 正太郎, 岩本 えりか, 長岡 凌平, 伊藤 翔太, 高見 次郎, 根木 亨, 片寄 正樹
    2017 年 32 巻 2 号 p. 249-254
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕血管内皮機能の指標である血流依存性血管拡張反応(以下,FMD)および低血流依存性血管収縮反応(以下,L-FMC)に着目し, 急性的な電気刺激が血流依存性の血管調節機能に与える影響を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕健常成人男性8名.被験者の右前腕に対して30分間の電気刺激介入を行い, 介入前後で右上腕動脈のFMDおよびL-FMCを測定し,介入前後で比較した.〔結果〕FMDとL-FMCは介入により増加を示したが有意差は認めなかった.一方,FMD+L-FMCは介入前と比較して介入後に有意に増加を示した.〔結語〕急性的な筋への電気刺激は血流依存性の血管収縮・拡張能に影響を与える可能性があるが,今後電気刺激の設定について更なる検討が必要である.
  • 松田 雅弘, 田上 未来, 楠本 泰士, 滝田 結奈, 新田 收
    2017 年 32 巻 2 号 p. 255-259
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕端座位における骨盤肢位と上肢肢位の違いが体幹回旋運動の角度に及ぼす影響について検討した.〔対象と方法〕対象を健常大学生20名として,他動的体幹関節可動域,体幹筋力を計測した.2種類の骨盤肢位と上肢肢位の端座位で,左右体幹回旋角度を計測した.各条件の違いを左右に分けて二元配置分散分析,体幹回旋可動域と体幹筋力との関係をPearsonの相関係数で分析した.〔結果〕上肢肢位にかかわらず骨盤肢位の違いにより体幹回旋運動角度に有意差がみられたが,上肢肢位の違いによる有意差はなかった.また,修正座位における体幹回旋運動角度と,体幹関節可動域および体幹筋力の間に有意な相関がみられた.〔結語〕骨盤肢位の違いが,体幹回旋運動角度に影響を及ぼし,修正座位における体幹筋力に相関していることが示唆される.
  • 木村 愛子, 内田 芙美香, 堀江 貴文, 橋村 康二, 鈴木 哲
    2017 年 32 巻 2 号 p. 261-265
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理学療法士を目指す際の動機づけにおける自己決定性の程度が,学習意欲および定期試験成績に与える影響を検討すること.〔対象と方法〕健常成人30名(平均年齢:19.1 ± 2.5歳)とした.質問紙により,理学療法士を目指す際の自己決定性の程度,学習意欲の価値的側面を評価した.〔結果〕内発的動機づけと興味価値,私的獲得価値および定期試験成績との間に,また同一化調整と公的獲得価値との間に有意な正の相関がみられた.外的調整と定期試験成績との間に,また無力状態と興味価値,私的獲得価値および定期試験成績との間に有意な負の相関がみられた.〔結語〕理学療法士を目指す際の自己決定性の程度は,学習意欲,定期試験成績に影響する可能性が示された.
  • 越後 あゆみ, 岩月 宏泰
    2017 年 32 巻 2 号 p. 267-272
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕健常青年を対象に左右逆転プリズム眼鏡を装着させた歩行を課題とし,全習法と分習法で練習を行った場合の学習効果を運動学的に解析することを目的とした.〔対象と方法〕下肢に整形外科的既往のない健常青年20名であった.課題動作を5 mの屋内シャトル歩行とし,プリズム非装着時,プリズム装着直後および3つの練習条件後の計5回実施した.歩行時は,所要時間,修正回数,歩数,1歩行周期時間,下腿筋活動,歩行時体幹動揺,足関節角度を測定した.練習条件は全習法と分習法の2種類を行った.〔結果〕全練習条件間で所要時間,修正回数に有意な差は認められなかった.練習中の変化として全習法のみ所要時間の短縮が認められた.〔結語〕練習法の違いによる動作上達度に違いはないが,課題習熟過程には差が生ずることが示唆された.
  • 細谷 志帆, 佐藤 洋一郎, 河口 明人
    2017 年 32 巻 2 号 p. 273-278
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕生活習慣病危険因子の関与の比較的少ない青年期において,血管硬化度に関わる血圧および自律神経活動の関連性を明らかにする.〔対象と方法〕健常大学生男女99名(男性59名,女性40名,平均年齢19 ± 1.4歳)に対し,身体組成,brachial-ankle Pulse Wave Velocity(以下,PWV),中心血圧および心拍変動による自律神経活動を測定した.〔結果〕男女とも血圧はPWVと有意な正の相関を示すが,自律神経指標とは有意な関連性を認めなかった.PWVは,男性では交感神経活動指標が正の,副交感神経活動指標が負の関連を示したが,女性ではいずれの指標とも有意な相関は示さなかった.〔結語〕男女とも血圧とPWVは関わっているが,男性では交感神経活動が血圧とは独立してPWVに関わっていた.
  • 井上 純爾, 大重 努, 向井 陵一郎, 岩田 晃, 淵岡 聡
    2017 年 32 巻 2 号 p. 279-283
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕下肢の筋力発生率(RFD)と瞬発的かつ低負荷の運動との関連を検証する.〔対象と方法〕健常若年女性22名.下肢の最大筋力およびRFD,クイックスクワットの所要時間(QStime)および垂直跳びの跳躍高(VJheight)を測定し,各項目の関連について検討した.〔結果〕VJheightはRFDよりも最大筋力と強い相関を認めた.それに対して,QStimeは最大筋力よりもRFDとの間に強い相関を認めた.さらに,最大筋力を制御変数として偏相関係数を算出したところ,QStimeにのみRFDと相関を認めた.〔結語〕低負荷での素早い運動は最大筋力よりもRFDとの関連が強いことが示唆された.
  • 安岡 実佳子, 樋口 由美, 藤堂 恵美子, 大垣 昌之
    2017 年 32 巻 2 号 p. 285-289
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕大腿骨近位部骨折術後患者の骨折前の外出状況と,身体機能の回復の関連を検討した.〔対象と方法〕65歳以上の初発の大腿骨近位部骨折術後患者で,回復期リハビリテーション病院に入院した36名を対象とした.骨折前の外出状況は外出頻度と,外出目的別の外出頻度とし,担当理学療法士により聞き取り調査を行った.身体機能の回復は術後1ヵ月時と退院時に身体機能評価の差分値とし,骨折前の外出状況との関連を検討した.〔結果〕身体機能の回復は年齢,性別,認知機能と有意な相関を認めなかったものの,骨折前の外出頻度や買い物頻度と有意な相関を示した.〔結語〕骨折前の外出頻度と買い物の頻度が身体機能の回復と関連していた.
  • —介入時間と筋の長軸部位間における相違の検討—
    木村 繁文, 石川 琢麻, 山崎 俊明
    2017 年 32 巻 2 号 p. 291-296
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ラットヒラメ筋の廃用性萎縮進行中の間歇的伸張運動の効果を時間別,部位別に検討することとした.〔対象と方法〕8週齡のWistar系雄ラットの両側ヒラメ筋を対象に,これを通常飼育群,16日間の後肢懸垂にて廃用性筋萎縮を惹起するH群,実験期間中に間歇的伸張運動を5分間実施するSST群,10分間実施するLST群に分けた.部位は筋長の25%を近位部,50%を中央部,75%を遠位部とし,検討項目は各群と部位の筋線維横断面積,壊死線維,中心核線維の発生頻度とした.〔結果〕筋横断面積は遠位部においてLST,SST群ではH群と比較し,また中央部,遠位部においてSST群ではLST群と比較し有意に大きかった.〔結語〕短時間の伸張運動では伸張部位や時間によって廃用性筋萎縮の抑制効果が異なることが示唆される.
  • —活動筋電位による観察—
    嶋田 裕司, 昇 寛, 冨田 圭佑, 佐野 徳雄, 中山 彰博
    2017 年 32 巻 2 号 p. 297-300
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕新しく開発された足指・踵荷重起立台の運動効果判定のために,下肢の活動電位を測定し検討すること.〔対象と方法〕健常成人19名38下肢(男性19名,平均年齢21.6 ± 2.0歳)を対象とした.足指・踵荷重起立台および平坦起立台での立位保持の2条件での,下肢の筋活動量を測定した.検査筋は,両側の短母趾屈筋・短趾屈筋・内側広筋・前脛骨筋・大腿二頭筋・半腱様筋・腓腹筋内側頭とし,最大随意等尺性収縮(MVC)を求め,これらを各%MVC間にて比較した.〔結果〕平坦起立台より足指・踵荷重起立台での立位保持の方が,短母趾屈筋・内側広筋・前脛骨筋・半腱様筋において有意な%MVCの増加が認められた.〔結語〕足指・踵荷重起立台での立位保持は,下肢筋の筋活動量を増加させることが示唆される.
  • —質的研究—
    齋藤 正美, 大塚 吉則, 若林 秀隆
    2017 年 32 巻 2 号 p. 301-306
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕総合診療医を目指す専攻医の,リハビリテーション(以下,リハ),診療およびリハの教育研修に対する意識からそのあり方を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象者は,家庭医・総合医後期研修プログラムを実施している総合診療専攻医7名と循環器内科専攻医1名の計8名とした.面接によるフォーカスグループインタビューを行い,分析方法にSteps for Coding and Theorizationを用いた質的研究とした.〔結果〕「総合診療医の備えるリハ能力」,「リハ職との関係性の希薄」,「講義受講後の成果」,「総合診療専攻医のリハ教育研修のあり方」の4つの概念が抽出された.〔結語〕かかりつけ医やその役割を期待される専攻医へのリハ教育研修の体制が必要である.
  • 屋嘉比 章紘, 久保 晃
    2017 年 32 巻 2 号 p. 307-311
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ドローイン歩行(D歩行)前後での腹横筋(tr)筋厚の変化により,この歩行時の身体反応を明らかにすること.〔対象と方法〕課題1,2で各々成人男性10名,20名.課題1では超音波により得られるtr筋厚をD歩行前後で比較した.課題2では,時速4 kmでのトレッドミル上で通常歩行(N歩行),D歩行,エクササイズウォーキング(E歩行)の間で酸素摂取量を比較した.〔結果〕tr筋厚はD前後で有意差は認められなかった.酸素摂取量は,すべての条件下で有意差が認められた.〔結語〕D歩行前後でtrの筋厚に有意差がなく,D歩行中も腹横筋の収縮は持続されていたと推察できる.また,D歩行はN歩行と比較すると代謝活性に優れていることが示唆される.
  • —内旋筋と外旋筋の筋力比に着目して—
    坂東 峰鳴, 瓜谷 大輔, 幸田 仁志, 粕渕 賢志, 福本 貴彦, 今北 英高
    2017 年 32 巻 2 号 p. 313-316
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕膝前十字靭帯損傷の既往の有無による股関節内旋筋力,外旋筋力およびこれらの比の差異を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は,健常成人女性22名および膝前十字靭帯損傷の既往のある女性9名とした.ハンドヘルドダイナモメータにより計測される股関節内旋筋力と外旋筋力,およびこれらの比をマン・ホイットニーのU検定を用い,群間で比較した.〔結果〕股関節外旋筋力は有意差を示さなかったが,股関節内旋筋力および内外旋筋間の筋力比はACL群で有意に大きかった.〔結語〕ACL損傷の既往がある者には,股関節内外旋筋の筋力比に不均衡が生じていることから,損傷患者ではこの筋力比を健常者の水準値に近づけることは,有益な理学療法介入となる可能性がある.
  • 木庭 孝行, 齋藤 圭介, 井上 茂樹, 森下 元賀, 宮本 宣義, 川山 健
    2017 年 32 巻 2 号 p. 317-322
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢整形疾患患者の自宅退院後早期における活動能力および生活空間の回復予後と退院時の機能的状態との関連性について明らかにすること.〔対象と方法〕対象は整形病院の全入院患者74名中,入院前に杖歩行可能で自宅復帰した高齢者32名.退院後3ヵ月間月単位で活動能力と生活空間の推移を測定し,退院時点の機能的状態との関連を,Spearman順位相関係数とステップワイズ重回帰分析を用い検討した.〔結果〕活動能力では,退院後全ての時点で認知機能が統計的有意な関連を示した.生活空間では退院後1ヵ月と3ヵ月月時点でTimed Up and Go testと5 m最速歩行時間が有意な関連を示した.〔結語〕退院後早期の活動能力・生活空間の回復予後と認知機能や運動機能との関連,その予測可能性を明らかにした.
  • 鶴崎 俊哉, 寺尾 瞳
    2017 年 32 巻 2 号 p. 323-328
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ハイハイ動作の変化から運動学習過程を検討するために,ハイハイ動作分析基準を開発し,その信頼性を検証した.〔対象と方法〕乳幼児1名の約6ヵ月間のハイハイ動作を記録した動画を資料とし,10名の検査者(経験者群4名,初見群2名,トレーニング群4名)で2回ずつ分析基準を用いたコード化を行い,コードの検査者間および検査者内一致度,さらにバリエーション数についても信頼性を確認した.〔結果〕初見群を除き,コードおよびバリエーション数の一致度ともに十分な信頼性を確認した.また,事前にトレーニングを行うことで信頼性が増すことが示された.〔結語〕開発した手法の客観性が示唆された.
  • 西川 裕一, 渡邊 航平, 上野 弘貴, 高橋 哲也, 細見 直永, 永野 義人, 折田 直哉, 高尾 恒嗣, 道上 可奈, 三上 幸夫, ...
    2017 年 32 巻 2 号 p. 329-333
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕多チャンネル表面筋電図を用いてパーキンソン病(PD)患者の持続的な筋収縮時の筋活動特性を明らかにする.〔対象と方法〕PD患者9名,健常者10名(57-65歳,全て男性)を対象とした.等尺性膝関節伸展の最大随意筋収縮(MVC)を測定し,10%MVCを120秒間保持させる課題を行わせた.筋電図信号は外側広筋から得た.筋活動分布は, 15,60,120秒の時点の筋電図信号からroot mean square mapを作成し評価した.時間経過における筋活動分布の変化は相関係数を算出して評価した.〔結果〕PD群の相関係数は120秒の時点で健常群と比較し有意に高かった.〔結語〕PD患者は持続的な筋収縮時に限局した運動単位しか動員されないことが示唆された.
症例研究
  • —TENSによる鎮痛効果の検討—
    清水 陽介
    2017 年 32 巻 2 号 p. 335-341
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脊髄梗塞後の疼痛および痺れ感に対し,Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation(以下,TENS)を用いて除痛効果を検討すること.〔対象と方法〕対象は,後脊髄動脈梗塞後に脊髄梗塞を発症し神経障害性疼痛を伴った1症例.方法はTENSを用い,電極配置部位を左L3,L5領域のデルマトーム上に配置し,周波数は変調周波数,刺激強度は対称性二相性パルス,50 μsec,感覚レベル刺激を用いて30分/日で3日間施行した.〔結果〕1日目TENS後,左L3,L5領域の疼痛,痺れ感ともに除痛効果が認められたが,2日目,3日目ともに即時効果,持続効果は認められなかった.〔結語〕TENSにより即時効果を得る一方でTENS後に神経の異常興奮を惹起する可能性がある.
  • 瀧口 述弘, 庄本 康治
    2017 年 32 巻 2 号 p. 343-348
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/02
    ジャーナル フリー
    〔目的〕大腿骨近位部骨折術後2症例に対して,経皮的電気刺激(TENS)を患側肢に実施する患側TENSと両側肢に実施する両側TENSの効果を評価すること.〔対象と方法〕症例1は大腿骨転子部骨折固定術後症例,症例2は大腿骨頚部骨折固定術後症例であった.症例1は,術後1~3日目に30分間の患側,両側TENSを実施し,症例2は,術後1日目には1時間患側TENSのみ実施し,2,3日目は1時間の患側,両側TENSを実施した.アウトカムは運動時のNRSを測定した.〔結果〕2症例とも患側,両側TENS後のNRSが低下し,症例2では患側TENSと比べ両側TENSの方が1低下した.〔結語〕患側,両側TENSともにNRSが低下したが,今後はプラセボなども実施し,患側,両側TENSの効果を明らかにする必要がある.
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