2017 年 32 巻 3 号 p. 403-407
〔目的〕本研究の目的は,高齢腹膜透析患者の身体機能・認知機能を調査し,ADLとの関係を検討すること.〔対象と方法〕65歳以上の腹膜透析患者23名(年齢73.6 ± 5.3歳)を対象に,握力,膝伸展筋力,6分間歩行距離,10 m歩行速度,SPPB,FIM,MMSEを測定し,各項目の基準値を下回る対象の割合を算出し,FIMと各指標との関連を検討した.〔結果〕握力,膝伸展筋力,6分間歩行距離は,いずれも半数以上の患者が基準値を満たさなかった.FIM総合計は10 m歩行速度(r=0.48),SPPB(r=0.52),MMSE(r=0.49)と有意な正の相関関係を認めた.〔結語〕本調査における高齢腹膜透析患者の低い身体機能は,ADL能力と関連しており,ADLの維持のためには身体機能の維持・向上が必要だと考えられる.