2017 年 32 巻 5 号 p. 657-662
〔目的〕足幅を規定した荷物の持ち上げ動作の運動特性を明らかにし,腰部に加わる物理的ストレスについて検討した.〔対象と方法〕対象は健常な男子大学生8人とした.運動課題は床に置いた10 kgの荷物を持ち上げることとし,この時の足幅を3段階に設定した.デジタルハイスピードカメラと表面筋電計を用いて,下肢と体幹の関節角と筋活動を計測した.〔結果〕体幹前傾角ならびに腰部傍脊柱筋の筋活動は,足幅の増大により有意な減少が認められた.下肢の筋活動は足幅による有意差が認められなかった.〔結論〕足幅を増大した荷物の持ち上げ動作は体幹前傾角と腰部傍脊柱筋の筋活動を減少し,腰部の物理的ストレスを軽減することが示唆された.