抄録
〔目的〕立位での一側下肢への側方体重移動における非移動側下肢の筋活動パターンと姿勢変化の関係性を検討した.〔対象と方法〕健常男性10名の10肢とした.立位より側方移動した際のビデオ画像と非移動側下肢の筋電図,足底圧中心を測定した.〔結果〕側方移動開始時の非移動側下肢において下腿踵骨角に変化が生じない群(7名),内反方向への運動が生じる群(3名)を認めた.前者では腓骨筋群,下腿三頭筋,足部内反筋群の筋活動増加を認め,後者では足部内反筋群の筋活動増加後に腓骨筋群,下腿三頭筋の筋活動増加を認めた.全例において中殿筋中部線維の筋活動増加を認めた.〔結語〕立位での側方移動開始直後に健常者においても異なる足部の運動,筋活動パターンを認めたことから,臨床場面では非移動側足部の詳細な評価の必要性が示唆された.