2019 年 34 巻 2 号 p. 177-186
〔目的〕前・初期股関節症に対し理学療法を施行した際の疼痛抑制因子を明らかにし,治療戦略構築の一根拠を得ること.〔対象と方法〕初回来院時の股関節痛がNRS4以上の前・初期股関節症患者39名を対象とした.2ヵ月時股関節痛がNRS2以下になるための因子にについて多重ロジスティック回帰分析を用いて検討した.〔結果〕2ヵ月時股関節の疼痛抑制因子として最小関節裂隙幅(オッズ比0.1),初回外転可動域(オッズ比1.5),2ヵ月時主観的stiffness(オッズ比3.0)およびホームエクササイズ実施点数(オッズ比0.3)が選出された.〔結語〕本研究結果は,前・初期股関節症の疼痛抑制に対する治療戦略を練る際の一つの根拠となると考える.