2019 年 34 巻 2 号 p. 199-204
〔目的〕筋骨格シミュレータを用いて松葉杖歩行時に脇当てが腋窩から外れやすい原因を明らかにし,脇当てが腋窩から外れにくい方法を提案する.〔対象と方法〕被験者は,整形外科的疾患のない若年成人男性5名とした.まず,3次元動作解析システムを用いて松葉杖歩行中の動きのデータを計測した.次に,得られたデータをもとに筋骨格シミュレータを用いて松葉杖歩行時の肩関節に関する筋活動を推定し,脇当てが腋窩から外れやすい原因を調べた.〔結果〕全被験者のほとんどの試行で松葉杖立脚中期において三角筋中部線維と棘上筋の活動により肩関節が外転していた.〔結語〕肩甲骨を内転,下方回旋した位置から松葉杖歩行を行うことで,肩関節外転筋の求心性収縮を抑えられ,松葉杖歩行時の肩関節外転を抑制できる可能性が示唆された.