理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
運動イメージの実施は脊髄前角細胞の興奮性を増加させるが呼吸の各相はその程度に影響しない可能性がある
福本 悠樹鈴木 俊明岩月 宏泰
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キーワード: 呼気, 吸気, F波
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2019 年 34 巻 2 号 p. 239-244

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抄録

〔目的〕運動イメージを保持している際の通常呼吸の呼気時と吸気時の違いが,脊髄前角細胞の興奮性を変化させるかF波の出現様式から検討した.〔対象と方法〕健常者10名(平均年齢19.5歳)に,安静にて2秒ごとに呼気と吸気を繰り返させ,同時に左母指球上の筋群からF波を記録した.次に50%最大随意収縮のピンチ動作を練習させた後,F波を記録しつつ運動イメージを保持させた.まず,安静と運動イメージ保持中の振幅F/M比とF波の出現頻度を比較した.次に,運動イメージ保持中の振幅F/M比とF波の出現頻度から安静のそれぞれの値を引き,振幅F/M比変化量と出現頻度変化量を正または負の数として算出した.算出した各変化量は呼気時と吸気時で比較した.〔結果〕安静と比較した運動イメージ保持中では振幅F/M比とF波の出現頻度が増加した.しかし,呼気時と吸気時の運動イメージ間で差は認めなかった.〔結語〕呼吸の各相による運動イメージ時の脊髄前角細胞の興奮性変化に影響しないことがわかった.

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© 2019 by the Society of Physical Therapy Science
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