2019 年 34 巻 5 号 p. 587-591
〔目的〕前方進入法による人工股関節全置換術後2週間における下肢筋力の詳細な推移を把握する.〔対象と方法〕対象は17名で,ハンドヘルドダイナモメーターを用い,術側下肢筋力を術前,術後5,7,9,14日目,退院時に測定した.測定項目は股屈曲,股開排,膝伸展,足背屈とした.〔結果〕術側股屈曲の筋力値は,術前と比較して,術後5日目から退院時に至るまで,有意な変化はなかった.一方で,術側股開排の筋力値は,術前と比較して,術後5,7,9日目において,いずれも有意に低かった.術側股開排の術前比は,術側股屈曲に比較して,術後14日目と退院時において,有意に低かった.〔結語〕術側股開排筋力は,術後1週間を過ぎても筋力回復が得られず,退院間近では,その回復の割合も低い結果を示し,股開排筋力に着目した理学療法プログラムが必要と考えられた.