2020 年 35 巻 5 号 p. 719-727
〔目的〕呼吸器疾患において大腿四頭筋筋力(QF)は日常生活動作(ADL)に関連するが,QFは患者努力を要し測定困難なことがある.本研究は,大腿四頭筋筋厚(Qt)とADLの関連を検討した.〔対象と方法〕対象は慢性呼吸不全患者39名で,Qt測定は大腿直筋と中間広筋とし,ADL評価に長崎大学ADL評価表(NRADL)を用いた.また,肺機能・心エコー・血液検査を行った.解析はSpearmanの相関係数を用い,さらにNRADL合計を従属変数,関連因子を独立変数とし,重回帰分析を行った.〔結果〕NRADLとBMI,Qt,%一酸化炭素肺拡散能(%DLco),血清アルブミン,吸入酸素濃度(FiO2)に有意な相関が認められた.重回帰分析より,Qtと%DLcoが抽出された.〔結語〕QtはNRADLと関連しており,慢性呼吸不全患者において,QtからADLを推定できると考える.