2021 年 36 巻 1 号 p. 125-129
〔目的〕2個の球を手掌で回転させる運動の練習による,母指の運動範囲と球の軌跡の変化について明らかにする.〔対象と方法〕対象は健常成人11名とした.課題は,2個の球を左手掌で回転させる1分間の運動とした.この運動を1分間1セッションとして3セッション練習し,練習前後の母指の前額面の運動範囲,矢状面の運動範囲,1つの球が手掌上を移動する軌跡長それぞれを比較した.また,練習前と練習3セッション目の球の回転数を比較し運動の習熟を確認した.〔結果〕母指の運動範囲は,練習前に比べ練習後の課題中に減少した.球の軌跡長は練習前に比べて練習後に短縮していた.〔結語〕2個の球を手掌で回転させる運動は,練習により習熟することで母指の運動範囲が狭小化し,球の軌跡長が短縮する.