2021 年 36 巻 1 号 p. 73-77
〔目的〕歩行が自立していない脳卒中者片麻痺者の動的安定性についてmargin of stability(MOS)を用いて検討した.〔対象と方法〕脳卒中片麻痺者28例(自立群14例,非自立群14例).三次元動作解析装置を用いて歩行を計測した.MOSは麻痺側・非麻痺側単脚支持期の側方幅,後方幅,前方幅を算出した.〔結果〕非自立群はステップ長が有意に低値であったが,歩隔は有意に大きかった.非麻痺側のMOS側方幅が有意に小さく,MOS後方幅は有意に大きくなった.MOS前方幅は自立群が麻痺側・非麻痺側ともに有意に大きな負の値を示した.〔結語〕非自立群は非麻痺側外側方の不安定性を認め,麻痺側外側方や前後方向の安定性はステップ長や歩隔によって補っていることが示唆された.