2022 年 37 巻 4 号 p. 387-391
〔目的〕重心移動練習課題中の前庭機能を抑制することを目的とした経頭蓋直流電気刺激(tDCS)が重心移動学習を促進させるかを検討した.〔対象と方法〕健常成人10名を対象とし,重心移動練習課題中に右側乳様突起部へ3分間陰極通電するtDCS条件と課題開始後30秒間通電するsham刺激条件を比較した.練習課題前後に,前後・左右方向の足圧中心(CoP)変位と下肢荷重量を計測した.同時に下腿の表面筋電図を記録した.〔結果〕tDCS条件では,練習実施後にCoPが右側へ有意に変位し,右下肢荷重量が増大した.〔結語〕前庭tDCSは立位重心移動誘導を促進させるツールとなり得る可能性がある.