2023 年 38 巻 6 号 p. 456-460
〔目的〕脳卒中片麻痺に併存する感覚障害が,患者の歩行が自立するまでの期間の長さと関連があるのかどうかを明らかにすること.〔対象と方法〕対象は初発脳卒中片麻痺患者21名で,入院時に歩行が自立しておらず,12段階「片麻痺回復グレード」法で9以上の,運動麻痺の軽度な者とした.Stroke Impairment Assessment Setの触覚と,位置覚検査の点数と歩行が自立するまでの期間の相関係数を求めた.〔結果〕歩行が自立するまでの期間と触覚の点数(r=-0.51),および歩行が自立するまでの期間と位置覚検査の点数(r=-0.48)との間に,それぞれ有意な負の相関を認めた.〔結語〕運動麻痺が軽度な脳卒中片麻痺において,触覚および位置覚障害が重度なほど,歩行が自立するまでの期間は長かった.