理学療法のための運動生理
Print ISSN : 0912-7100
慢性期脳卒中患者の心電図異常についての一考察
岩月 宏泰生田 泰敏和田 秀彦
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1992 年 7 巻 4 号 p. 215-220

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抄録

慢性期の脳血管障害:患者227例の心電図所見と脳病変、血液生化学検査との関連について検討した。脳病変は脳梗塞132例、脳出血45例、脳血栓4例、クモ膜下出血11例、再発例35例であった。心電図異常の出現頻度は全体の78.4%であり、各障害型ではクモ膜下出血89.5%、脳出血86.1%、脳梗塞84.3%、脳血栓57.1%であった。心電図異常は脳病変に関わらず心箭障害、上室性期外収縮、心筋梗塞、左軸偏位が多くみられた。年齢別では60歳以上で約80%に心電図異常所見がみられ加齢とともに出現率が増加した。また高血圧症、糖尿病と心電図異常との関連では高血圧症のみ合併している者の86.2%、高血圧症と糖尿病を合併している者の81.8%と高率にみられた。
本研究の結果、慢性期脳血管障害患者では心電図の異常所見が高い頻度でみられたことから、運動療法を施行する際には心電図所見を確認する必要があることが示唆された。

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