理学療法のための運動生理
Print ISSN : 0912-7100
脚長差が直立姿勢に与える影響
寺本 喜好臼井 永男
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キーワード: 脚長差, 骨盤捻転, 重心
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1994 年 9 巻 4 号 p. 171-175

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抄録

この研究の目的は,脚長差の出現が直立姿勢における骨盤と腰椎の形態及び左右の荷重差に与える影響ついて検討することである。
健常な20名(男性11名,女性9名)を対象に,二台の体重計の上で左右の下肢に脚長差を順次つけ,直立姿勢における左右の荷重差を計測した。その内4名について骨盤と腰部の左右捻転角を測定した。その結果,ヒトは10~20mmの脚長差においても,骨盤と脊柱で捻転(回旋)と側彎を繰り返して垂直方向のバランスをとっているが,重心は脚長差の長脚側に移る傾向が見られた。平均30mm以上の脚長差になると平衡感覚は破綻をきたし,姿勢は乱れ直立位を保つことは困難であった。このように脚長差の出現は骨盤と脊住を捻転側彎させて,垂直方向に直立位を保とうとするが,前後左右の重心を乱し不良姿勢を形成する可能性を内包している。また左脚よりも右脚の方が,平衡機能を保つ上で優位な利き足となっていることが示唆された。

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