1995 年 10 巻 1 号 p. 11-14
脳卒中片麻痺26名と健常群15名に最速歩行と通常歩行を行わせ,その時の歩行速度,重複歩距離,歩行率を測定した。そして,この重複歩距離と歩行率が,歩行の速度変化にどのように関与しているか,片麻痺を歩く速さの差でA群(60m/min以上)とB群(60m/min未満)の2群に分類し検討した。最速歩行と通常歩行の速度変化は,3群とも重複歩距離と歩行率が要因となっていた。片麻痺A群と片麻痺B群の間に生じる速度差は,最速歩行では重複歩距離と歩行率がともに影響を与えていたが,通常歩行では重複歩距離の差がその主要因であった。片麻痺A群内部で見ると,歩く速さは歩行率に強く影響されていたが,片麻痺B群内部では逆に重複歩距離に依存していた。