抄録
健常成人8名を対象に経口水負荷時と運動負荷時における尿中過酸化水素排泄量の変化を測定した。測定には,50倍希釈尿と1-14C-α-ketoglutaric acidを反応させ,発生する14CO2の放射活性を測定する方法を用いた。水負荷量は1時間毎に50~300m1,平均141.7ml/hとした。運動負荷は水負荷に加え,予測最大心拍数の80%と40%の強度で30分間自転車エルゴメータを駆動した。結果は以下の通りであった。1)尿量は,安静群では初期値より2,3時問目まで増加したのに対し,80%負荷では,尿量の増加はわずかであった。2)尿中H2O2排泄量は,安静群ではわずかに上昇したが,80%負荷では運動直後に減少し,負荷後1,2時問目では安静群よりも有意に低い値を示した。今回の研究により,尿中H2O2排泄量の定量性が確認され,水利尿,尿細管におけるNa+再吸収などが尿中H2O2排泄に影響を及ぼしていることが示唆された。