陸水学雑誌
Online ISSN : 1882-4897
Print ISSN : 0021-5104
ISSN-L : 0021-5104
原著
単循環湖の石手川ダム湖の長期水質モニタリングによる炭素制限の推定
香川 尚徳広谷 博史森 雅佳
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 76 巻 2 号 p. 111-127

詳細
抄録
 単循環湖の石手川ダム湖で,夏季のクロロフィルa濃度(Chl-a)が年々減少する原因を検討した。1983年1月から20年間,毎月1度,湖内定点の水深0.5 mで,水温,pHと,Chl-a,栄養塩類の濃度を調査した。その結果,試料がpH で2群に分かれること,pH ≤ 8.10の試料群でpHが経年的に上昇する一方,pH > 8.10の試料群で下降することが認められた。pH ≤ 8.10は主として循環期(10 – 3月)に,pH > 8.10は主として成層期(4 – 9月)に見られた。次に,1993年2月からの10年間に得た溶存無機態炭素濃度とpH,水温,主要イオン濃度とから,炭酸の解離平衡式を用いて,遊離CO2濃度を計算した。遊離CO2と平衡になるCO2ガスの分圧の対数とpH が高い負の相関を示すこと,pH 8.1で遊離CO2が大気中のCO2と平衡になることが認められた。全体を通して見ると,成層期の試料群では,先行する循環期の遊離CO2が年々減少することを反映して,Chl-aが経年的減少傾向を示した。高pH(> 8.10)で部分的に炭素制限が生じたと推定された。なお,湖内上流に流入河川水を制御するフェンスが設置された時期には,フェンス下流で炭素制限が強化されたと見られた。
著者関連情報
© 2015, The Japanese Society of Limnology
前の記事 次の記事
feedback
Top