陸水学雑誌
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短報
中海・宍道湖で越冬する潜水性カモ類の羽数の長期変化
江角 敏明加藤 季晋松尾 豊神谷 宏石飛 裕
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2020 年 81 巻 3 号 p. 233-242

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抄録

 山陰地方の中海と宍道湖には晩秋に多数の渡り鳥が飛来し早春まで滞在する。大多数を占める潜水性カモ類ホシハジロ,キンクロハジロ,スズガモの,中海本湖,干拓堤防で分離された中海本庄水域,宍道湖における1999~2015年16越冬季の観測羽数を集計した。10月から3月までの月毎の羽数変動より12月と1月の平均羽数を越冬数とし,それぞれの水域における3種の潜水性カモ類の16季の越冬数を求めた。この16季の間に,中海本湖と本庄水域ではホシハジロとキンクロハジロが減少傾向を示した。宍道湖ではキンクロハジロは減少傾向だったが,スズガモは増加傾向を示した。これらの3種は,中海本湖と本庄水域ではホトトギスガイを,宍道湖ではヤマトシジミを主要な餌としている。越冬数の長期的な変動について,それぞれの水域における餌環境の変動から推察した。

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© 2020, The Japanese Society of Limnology
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