陸水学雑誌
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15Nトレーサー実験による微小動物プランクトンの窒素取り込み速度の見積
市川 忠史吉岡 崇仁和田 英太郎林 秀剛
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1992 年 53 巻 4 号 p. 273-280

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抄録
窒素安定同位体(15N)を用いたトレーサー実験を行い,淡水のプランクトンの窒素の取り込み速度を測定した。数100個体以下(5μgN程度)での微小動物プランクトンの微量な15N変化の検出のため,同位体比既知の物質(アラニン)をNキャリアーとして用い,比率直読式質量分析計で測定を行った。キャリアー添加によって生ずる誤差は-0.00210~+0.00113 15Natom%(平均0,00048±0.0010S.D.)の範囲にあった。この方法で測定を行った結果,中綱湖のKellicottia longispinaについて8.5×10-8mg・atom-N・indiv.-1・day-1,諏訪湖のKeratella quadrataについて4.2×10-7mg・atom-N・indiv.-1・day-1の値が得られた。取り込み速度,窒素含量及び炭素含量から計算した純生産速度はK. longispinaで5.1×10-6mgC・indiv-1・day-1, K. quadrataで2.5×10-5mgC・indiv-1・day-1となった。質量分析と15Nトレーサー実験の組合わせにより,動物プランクトンの種のレベルで,栄養塩から植物プランクトンを経た窒素の取り込みが,同時に,かつ同じ空間で測定が可能であることが示された。
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