抄録
日本の富栄養化度の異なる15湖沼水の,総リン,オルトリンおよびアルカリホスファターゼ分解性リン(ALP-P)含量を評価した。総リンに対するオルトリンの割合はいずれも低かった。溶存している有機リンのうち,平均62%はALP-Pであった。また植物プランクトンに利用され易いリンと考えられるオルトリンとALP-Pの総和量は,溶存の総リンの平均71%を占めていた。
印旛沼と河口湖水のリン化合物をゲルクロマトグラフィー(Sephacryl S-200)により分析したところ,分子量150,000以上の高分子画分と13,000以下の低分子画分に分画された。高分子画分のリンの一部はアルカリホスファターゼで分解されるが,それらはリン酸モノエステル類が,フミン酸等のような高分子成分に付着したものであると考えられた。