日本臨床外科医学会雑誌
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胃癌の糖鎖抗原(Span-1, CA19-9, SLEX)発現に関する免疫組織学的検討
細胞核DNA ploidy patternとの関連について
曽和 融生鄭 容錫西村 昌憲芳野 裕明前川 仁加藤 保之梅山 馨
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1988 年 49 巻 2 号 p. 247-253

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抄録
3種類(Span-1, CA19-9, SLEX)の単クローン抗体を用い,切除胃癌組織内糖鎖抗原発現程度と細胞核DNA ploidy patternとの関連性について検討した.切除胃癌68例の免疫組織染色はABC法で行った.染色程度からの各種糖鎖抗原陽性率はSpan-139.7%, CA19-9 22.1%, SLEX 41.2%で,これら陽性例ではn, ly, v因子陽性頻度が高く,また深達度別検討では深達度が進むにつれて糖鎖抗原発現が有意に高かった.しかし組織型との関係ではSLEX陽性例に分化型の頻度が, CA19-9 Span-1陽性例では未分化型の頻度がやや高いものの有意の差はみられなかった.またこれら3種類の糖鎖抗原がすべて陽性例では, n, ly, v因子陽性率がとくに高かった(p<0.05~0.005).以上の結果から,糖鎖抗原発現程度が胃癌の生物学的活性を示すものと考えられた.
一方,糖鎖抗原の組織内局在様式別の検討ではcytoplasmic type, apical typeが多く,とくにSpan-1陽性頻度が75.0%, 60.0%と高かった.これら糖鎖抗原発現陽性細胞のDNA ploidy patternを落射型蛍光顕微鏡により検討した結果,陽性細胞は陰性細胞に比べ, II, III型が多く, non-diploid, aneuploid patternを示した.
以上の成績から,糖鎖抗原発現に関与するDNA ploidyの変化が示唆され,胃癌細胞の糖鎖抗原発現および核DNA ploidy patternの解析は胃癌の悪性度を反映する一指標となる事実が推測された.
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© 日本臨床外科学会
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