日本臨床外科医学会雑誌
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肝細胞癌との鑑別に難渋した右尾状葉原発肝血管腫の1切除例
梛野 正人近藤 成彦金井 道夫森 光平二村 雄次向山 博夫神谷 順一
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1988 年 49 巻 2 号 p. 344-349

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抄録
症例は56歳の女性で,血尿の精査にて入院中,腹部超音波検査にて肝腫瘤が発見された.腹部血管造影では,腫瘍血管の著明な増生,支配動脈の拡張,不整な腫瘍濃染像を認めた. Angio-CTでは,腫瘍は造影剤注入直後から中心部以外は,ほぼ均一に濃染し,その濃染が経時的に中心部にも移行してゆく像を認めた. Angio-CTからは,肝血管腫も強く示唆されたが,血管造影,特に腫瘍血管の著明な増生像より,肝細胞癌と診断し手術を施行した.腫瘍は右尾状葉に存在し,尾状葉全切除を伴う左葉内側区および右葉前上区域切除という非定型的術式にて切除しえた.病理組織学的には,腫瘍は肝海綿状血管腫で,悪性像は認められなかったが,腫瘍の被膜外に動脈枝を多数認め,血管造影の所見をよく反映していると考えられた.血管造影上,肝細胞癌との鑑別が困難な肝血管腫が存在する点に留意すべきである.
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