抄録
急性上腸間膜動脈閉塞症10例を対象として診断,治療,予後について臨床的検討を行った.本症の正診率は,腹部超音波検査14% (1/7), computed tomography 40% (2/5),腹部血管造影検査100% (6/6)であり,本症を疑った場合,積極的に血管造影検査を施行すべきである. 10例中8例には,手術が施行され,残る2例は,全身状態が極めて不良であることから手術不可能と判断した.手術施行8例中, 2例はウロキナーゼ選択的動注(引き続き開腹)により, 1例は塞栓摘除術により,腸管切除を行わずに救命しえた. 5例には広範囲腸管切除術を施行し,中2例を救命しえた.腸管切除率は,発症後10時間以内に治療したものでは0% (0/3)に対して,それ以上経過したものでは100% (5/5)と有意に高かった(p<0.05).以上から,発症後10時間以内の緊急診断ならびに治療が重要であり,ウロキナーゼ選択的動注療法は,発症後早期の第一選択治療法として有用であると考えられた.