日本臨床外科医学会雑誌
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腫瘍径からみた早期胃癌の検討
木村 寛伸神野 正博高村 博之荒川 元前田 基一魚岸 誠素谷 宏神野 正一
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1992 年 53 巻 11 号 p. 2591-2596

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抄録
早期胃癌の増大と進展に関する研究は,年余にわたって経過を観察することは一般にはまれなため,正確なところ不明の点も多い.そこで,今回早期胃癌96病巣を対象に腫瘍径を1.0cm以下, 1.1~3.0cm, 3.1~5.0cm, 5.1cm以上の4群に分け,腫瘍径と病理組織学的諸因子との関係,ならびに小胃癌,表層拡大型早期胃癌について検討した.早期胃癌の平均腫瘍径は3.0cmであり,腫瘍径は性別では女性が,肉眼型では平坦型が,組織型では未分化型癌が有意に大きかった.深達度と腫瘍径との関係では,腫瘍径が3.1~5.0cmの群は他の群に比べ,有意にsm癌が多かったが,リンパ節転移と腫瘍径とのあいだには,特に関係は認められなかった.また小胃癌は11例(11.5%)に,表層拡大型早期胃癌は7例(7.3%)に認められ, 1例を除きともに全てm癌で,小胃癌はIIc, IIaの分化型癌が多く,表層拡大型早期胃癌はIIbの要素を含むsigを主とする未分化型癌が多かった.
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