抄録
予後の明らかな胃十二指腸平滑筋腫瘍20例を対象として,新鮮標本ないしパラフィン包埋ブロックからフローサイトメトリーを用いてDNA Ploidyを検索し,臨床病理学的指標,予後との関連性を検討した.胃原発腫瘍は18例で内訳は,筋腫13例,肉腫5例であった.筋腫と肉腫症例のMitotic Index, Cellularity, Histological Gradeに有意差を認めた.筋腫例13例中12例はDiploidy (D)を示し, Aneuploidy (A)は1例のみであった.一方,肉腫例では5例中4例がAを示し,肉腫症例に有意にAが多かった.さらに,反復測定すると, DNA Ploidyが異なり,腫瘍内核DNA量が不均一性であった.非治癒切除に終わった肉腫例の1例のみが再発死した.十二指腸平滑筋肉腫2例では,周囲組織浸潤や肝転移を示したが,いずれもDを示した. 20例の胃十二指腸平滑筋腫瘍では,肉腫症例に有意にAが多かった.予後とDNA Ploidyの関連は更に長期の経過観察のうえ検討する必要があると考えられた.