日本臨床外科医学会雑誌
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女性化乳房に発生した男性乳癌と鑑別困難であった乳房結核の1例
中野 芳明川端 雄一五福 淳二西出 孝啓川崎 勝弘相沢 青志荒木 幸雄
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1992 年 53 巻 11 号 p. 2650-2653

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抄録
66歳男性,右側乳房の有痛性腫瘤にて来院.既往歴, 31歳時右肺結核.両側女性化乳房を認め,触診および諸検査にて男性乳癌を否定しきれず生検を行った.病理組織検査にて結核と判明した.また生検時採取した膿汁の結核菌培養にてヒト型結核菌が証明された. 1年間化学療法を行い,現在は再燃傾向はみられず良好な結果をたどっている.本症例は続発性の結節型乳房結核と考えられた.
乳房結核は乳癌との鑑別が困難なことが多く,本症例では特に女性化乳房があったために男性乳癌との鑑別が困難であった.乳癌との鑑別診断には,早期の生検による病理学的検索が重要であると考えられた.
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