日本臨床外科医学会雑誌
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リンパ管炎型肺転移後長期生存中の進行乳癌の1例
岩田 広治小林 俊三岩瀬 弘敬福岡 秀樹伊藤 由加志山下 啓子葛島 達也正岡 昭
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1992 年 53 巻 11 号 p. 2659-2663

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抄録
1981年4月,左乳腺腫瘤を有する35歳の女性が入院した.前医による抗生物質の投与で発熱,咳嗽,呼吸困難はやや軽快していた.しかしながら,なお,軽度の咳嗽と呼吸困難が残っており,胸部単純X線検査にて肺の癌性リンパ管炎が疑われた.乳腺腫瘤の穿刺吸引細胞診と開胸肺生検にて乳癌とその転移であることを確定診断し,外側腋窩郭清を伴う単純乳房切除術を行った.術後サイクロフォスファマイド,アドリアマイシン,テガフールと抗エストロゲン剤による複合化学内分泌療法を施行した.患者は現在,多発骨転移による軽度の疼痛があるものの,術後10年の間呼吸器症状はなく元気である.本例は乳癌のみならず他の悪性腫瘍のリンパ管炎型肺転移の中でも,長期生存中の稀な症例である.
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