日本臨床外科医学会雑誌
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血液透析患者に合併した腹部大動脈瘤切迫破裂の1手術例
山本 秀和横尾 直樹白子 隆志金子 一郎久米 真二村 学米山 哲司
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1992 年 53 巻 11 号 p. 2668-2671

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抄録
近年の血液透析技術の進歩に伴い,透析期間の長期化,患者の高齢化が進み,種々の合併症が出現するようになった.最近筆者らは血液透析患者に合併した腹部大動脈瘤切迫破裂の症例を手術療法にて治療しえたので,若干の考察を加え報告する.
症例は慢性血液透析中の67歳男性.腹部大動脈瘤と診断されながらも経過観察されていたが,切迫破裂状態になったため直径18mmのY型ゴアテックス人工血管を用い,置換術を行った.術後はSwan-Ganzカテーテル等による厳重な体液管理下,メシル酸ナファモスタットを用いた早期頻回透析を行い,治癒せしめることができた.
透析患者の手術に際しては,術中,術後の厳重な体液管理と,術後早期透析が重要なポイントとなる.そのためにはSwan-Ganzカテーテルによる肺動脈楔入圧モニタリングと,短時間作用型抗凝固剤のメシル酸ナファモスタットが非常に有用であると考えられた.
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