抄録
腫瘤形成型胃病変を呈したATLLの1切除例を経験した.症例は54歳の女性, ATLL (Stage IV)で治療中に心窩部痛を主訴に来院した.腹部CT検査で胃体上部小彎側に小児手拳大の腫瘤が認められ,腫瘤を含む胃全摘術を施行した.摘出標本の病理組織学的検索にてMalignant lymphoma, non-Hodgkin, diffuse pleomorphic typeと診断され, ATLLの胃病変と考えられた. 1980年から1991年までの本邦におけるATLLの胃病変の報告例は自験例を含め42例であったが,壁外に巨大腫瘤形成を認める病変の報告例は他になく, ATLLの中でも稀な発育形式を呈した症例と思われたので,若干の文献的考察を加えて報告した.