抄録
1973~1990年までに当科にて外科治療を施行した22例の軟部組織の先天性動静脈瘻・血管腫症例を検討した.年齢は2カ月~46歳,平均18.9歳で男性8例,女性14例であった.経過観察期間は1~17年,平均10.4年であった.主症状は全例で腫脹, 3例で出血, 3例で疼痛であった.単発16例,多発6例であり,境界明瞭なもの15例,不明瞭なもの7例であった.発生部位は頭頸部8例,体幹8例,四肢8例であった.動静脈瘻による心不全症例はなく, Kasabach-Merritt症候群を呈した症例はなかった.外科治療の内訳は摘出術17例,結紮術のあと摘出術1例,結紮術と塞栓術4例であった.摘出術を行った17例のうち16例では直接縫合閉鎖が可能であったが1例は動静脈茎付き遊離筋皮弁を移植した.退院時は16例で血管腫の遺残はなく, 6例で縮小をみた.顔面頸部の巨大血管腫の1例が3回目の手術の後死亡した.残りの21例は生存し12例で再発を見ていない.軟部組織の先天性動静脈瘻・血管腫に対して限局したものには摘出術を施行し良好な結果を得た.また,広範囲で摘出後の再建が困難なものには結紮・塞栓術が有効であった.