日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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アルカリ剤嚥下による広範囲腐蝕性食道狭窄と胃前庭部潰瘍を示した1手術治験例
多田 隆士石田 薫寺島 雅典渡辺 正敏村上 弘治旭 博史島田 裕前沢 千早斎藤 和好村上 晶彦伊藤 昭一郎
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1992 年 53 巻 2 号 p. 338-344

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抄録
症例は52歳の女性.主訴,嚥下困難.既往歴,精神発育遅帯,痙攣発作がみられ通院加療中.自殺を目的にトイレ洗浄剤(4%NaOH, pH 13.5)を茶わん約一杯分の量を嚥下し,受傷後5日目より広範囲の食道狭窄と胃幽門前庭部狭窄が認められ,保存的に経過観察していたが食道狭窄の改善なく,受傷後16週目に有茎結腸による食道再建術と幽門形成術を施行した.摘出した食道は食道入口部とE-C junctionより下部食道の生理的狭窄部を中心とする食道筋層に及ぶ高度な線維性肥厚と食道粘膜の著明な萎縮が認められた.術後,経口摂取物の誤嚥と術後4週目から胃幽門前庭部狭窄の症状も加わってきたため,一時経口摂取中止し,保存的治療にて経過観察を試みたが胃幽門前庭部狭窄の症状は改善せず,食道再建術6カ月後胃切除術を施行した.その後,胃幽門前庭部狭窄症状は改善し,また全身状態の改善もみられ,全治退院した.
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