日本臨床外科医学会雑誌
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高度な石灰化を生じた胃癌肝転移の1例
菊地 洋一土屋 敦雄石井 芳正安藤 善郎吉田 典行阿部 力哉
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1992 年 53 巻 4 号 p. 872-877

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抄録
組織学的に石灰化を伴った胃癌が,肝転移を起こし肝転移巣に著明な石灰化をきたした症例を経験した.症例は65歳の男性で, Borrmann 2型の胃癌にて,幽門側胃切除を行った.組織型はadenocarcinoma tub2であり, P0H0n1pmのstage IIであった.主病巣及びリンパ節には組織学的に石灰沈着が見られた.術後に認められた肝転移には高度な石灰化を伴っていた.腫瘤の発育は緩やかで, 4年5カ月の長期生存を得た.
胃癌の石灰化の機序については不明な点が多いが,癌細胞自身の産生するムチン様粘液物質が主な原因になると思われる.肝転移巣で石灰化が著明になったことは,腫瘍の虚血壊死が促進因子となったと考えられる.
本症例の血清CEA値とCT上の最大腫瘍径の推移から腫瘍倍加時間を求めその予後を検討すると,石灰化胃癌の予後は倍加時間も長く,増殖が緩徐であると思われた.
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