抄録
1989年4月より1990年3月までの間に当科で経験した心大血管術後のMRSA感染をまとめ検討した.この間,心大血管手術が110例行われ術後11例にMRSAが検出され,そのうち7例が有症候感染であった.移植人工物に感染が及んだ4例はいずれも死亡した.有症候のMRSA感染をおこした感染群とそれ以外の非感染群(無症候感染を含む)に分け,術後,感染前の心係数(CI),血中尿素窒素(BUN),血中クレアチニン(CRNN),血中総ビリルビン(T. Bil),気管内挿管期間を比較したところ,感染群で有意にCIが低く, BUN, CRNNが高く, T. Bilが高く,挿管期間が長かった.この結果より術後心,腎,肝,肺機能の低下した症例にMRSA感染が発症していると思える.したがって,移植人工物を使用する心大血管術後,全身状態不良な症例では特にMRSAに注意しなければならず,感染予防,早期発見に努める必要がある.