抄録
1978年8月より12年5カ月間にわれわれが直接経験した原発乳癌290例のうち, T0=16例, T1=77例を検索対象として,生検非施行例を中心に,診断法について検討を加えた.
T1=77例中,非浸潤癌9例を除外した68例についての生検施行率は76%で,非生検にて診断し得た症例は16例(24%)であった.
T1浸潤癌非生検例は生検例と比較して, 70歳以上の高齢者,体重比+11%以上の肥満者が多く,腫瘍径は16mm以上のものが75%を占めていた.臨床診断の根拠となったのは,触診での表面不整・皮膚陥凹・可動性不良,超音波断層写真上の辺縁不整・内部エコーが粗く強く不均一な所見で,乳房撮影写真では陰影の存在・スピクラ・微小石灰化の所見であった.
乳癌の早期診断における生検の占める役割は大きいが,まず視・触診と超音波断層撮影写真,乳房撮影写真上での上記所見を詳細に検討することにより,非生検的診断症例を増加せしめることができると考えられた.