日本臨床外科医学会雑誌
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肝転移を伴った胃カルチノイドの1例
林 実夫大橋 直樹三田 正明今井 俊積日高 直昭
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1992 年 53 巻 5 号 p. 1144-1147

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抄録
症例は66歳男性.主訴:嚥下困難.多発性肝転移を伴う胃体上部小弯側の高度進行胃癌(S3N2P0H3)と診断し,胃全摘,肝外側区域,膵尾部,脾合併切除及びR2リンパ節郭清を施行した.腫瘍は12×9cm大のBorrmann 3型を呈し,組織所見では腫瘍細胞はGrimelius染色陽性の好銀性物質を有し, Masson Fontana染色による銀親和性は陰性で胃カルチノイドと診断した.術後CDDP, 5FU, ADM, CPAによる多剤併用動注療法を施行し,肝転移巣は著明に縮小した.術後8カ月目にリンパ節再発により死亡したが,剖検所見では肝転移巣は大部分が壊死に陥っていた.本症の本邦報告例283例の集計では,腫瘍径2cm以下,壁深達度sm以下の比較的早期と考えられるものでもリンパ節転移及び肝転移は胃癌に比して高率であった.よって,手術に際しては広範なリンパ節郭清を付加する必要があり,さらに肝転移陽性例に対しても動注療法などの積極的な多剤併用療法を併施すべきものと考えられた.
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