抄録
当科において63歳,男性で胸部食道癌術後に発生した乳糜胸の1例を経験した.術後長期の絶飲食のためドレーンよりの胸水は黄色透明であり,早期診断は困難であった.術後乳糜胸の治療は,保存的療法を原則とし,肺膨張の目的で胸腔ドレーン, PEEP等を施行し,乳糜の減量の目的でTPN, MCTを施行する.胸膜癒着療法ではOK-432,テトラサイクリン系抗生剤等を使用するが保存的治療が奏効しない場合は時期を逸することなく手術療法を施行する.手術療法には, (1)胸管結紮術, (2)横隔膜直上での集束結紮等がある.本症例は胸管漏出部縫合閉鎖及び胸管周囲を含む集束結紮が著効を呈した.胸部外科領域の手術に際して常に術後乳糜胸を念頭においた診療が必要と思われた.