抄録
消化器外科術後methicillin-cephem耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)腸炎においては,白色水様下痢ならびに発熱が特徴的な症状であるとされている.しかし,下痢を伴わない便中MRSA検出症例5例を経験したので報告した. 3例は下痢を認めないのみならず,発熱や腹部愁訴など一切の症状を呈することなく,無治療にて便中のMRSAは陰性化した.他の2例は,下痢は認めないものの消化管MRSA感染症に起因すると考えられる発熱を認め,塩酸バンコマイシンの経口投与により速やかに軽快した. MRSAの院内感染が危惧される病棟での消化器外科手術後においては,下痢を呈さない消化管MRSA感染症も存在し得る可能性が示唆された.