日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
Solid and polycystic patternを呈した巨大副腎皮質癌の1例
出雲 明彦清水 周次此元 竜雄中垣 充田中 雅夫
著者情報
キーワード: 副腎皮質癌, 男性化, 成人
ジャーナル フリー

1998 年 59 巻 1 号 p. 212-216

詳細
抄録

症例は28歳女性.無月経のため近医を受診,後腹膜の腫瘍を指摘された.血液生化学検査は正常.腹部超音波, CT, MRIで右上腹部に,頭側は石灰化を伴う脂肪成分からなる充実性成分,尾側は多房性の漿液性成分からなる巨大な腫瘍を認めた.開腹すると腹水,腹膜播種,リンパ節転移の所見はなく,腫瘍は小児頭大で漿膜浸潤は認めなかった.周囲臓器との剥離も比較的容易で腫瘍摘出術を施行した.切除標本は径20×10×7.5cm,重量1,640g,黄白色調で表面不整.割面は骨組織の混在する弾性硬で充実性の部分と漿液性の液体を含む多房性の部分が存在した.組織学的には異型の強い副腎皮質類似の細胞が偽腺管を構築して充実性部分および嚢胞内面を形成していた.免疫組織化学的検索にて上皮性マーカーが陽性であることより副腎皮質癌と診断された.充実性成分と嚢胞の混在する稀な副腎皮質癌であり,若干の考察を加えて報告した.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top