日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
心大血管病変を合併した悪性腫瘍症例に対する同時手術
渡辺 俊一田中 紘輝豊平 均下川 新二川島 淳宏森山 由紀則浜田 信男岩村 弘志増田 宏山岡 章浩平 明
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 59 巻 1 号 p. 26-30

詳細
抄録

心大血管病変を合併した悪性腫瘍症例の8例に同時手術を行った.悪性腫瘍は,肺癌3例,大腸癌2例,胃癌2例,肝臓癌1例で,合併心大血管病変は,虚血性心疾患3例,心臓弁膜症2例,腹部大動脈瘤2例,胸部大動脈瘤1例であった.同時手術の順番は,原則として血行動態の改善確保を優先し,悪性腫瘍の根治性を損なわないように配慮したが,進行癌症例と手術野の都合では悪性腫瘍手術を先行した.到達切開法は,同一視野手術以外では,感染予防から非連続性到達法とし,体外循環併用症例では手術侵襲の軽減に努めた.同時手術の手術時間や出血量はほぼ満足でき,術後合併症も無いことから手術侵襲は認容できるものであった.全例社会復帰し,最長観察期間は54カ月(平均24カ月)で,悪性腫瘍の再発徴候は無く根治術と思われた.以上より心大血管病変を合併し,悪性腫瘍の根治性が期待できる症例では,手術侵襲に耐えれば,同時手術が好ましいと思われた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top