1998 年 59 巻 2 号 p. 561-564
ヘルニオグラフィーにて,術前診断を行い,腹腔鏡下手術を施行した閉鎖孔ヘルニアの1例を経験したので報告する.
症例は58歳女性. 1991年頃より時折右鼠径部・下肢のしびれ感を自覚していた.原因検索中に,頻回に激しい右殿部・鼠径部・下肢のしびれ感,疼痛を認めるようになったため,これらの症状をHowship-Romberg徴候と判断した.このため,ヘルニオグラフィーを行い,右閉鎖孔ヘルニアと確定診断し,待期的に腹腔鏡下手術による治療を行った.
非嵌頓例の閉鎖孔ヘルニアの診断には,ヘルニオグラフィーが非常に有効であると考えられた.同時に,腹腔鏡下閉鎖孔ヘルニア根治術は,手術手技が比較的容易で,かつ,術後の疼痛も少なく,非常に有用な治療法であると考えられた.