日本臨床外科学会雑誌
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腫瘍内出血に対して術前動脈塞栓術が有効であったvon Recklinghausen病の2例
安宅 啓二林 太郎北野 育郎岡田 昌義中山 伸一石井 昇
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1998 年 59 巻 2 号 p. 570-574

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抄録

腫瘍内大量出血によりショックに陥ったvon Recklinghausen病に対し動脈塞栓術による止血の後,切除術を施行した2例を経験した.
症例1は38歳,女性.数年前より左腎部に小児頭大の皮下腫瘤を認めていたが,突然の疼痛と腫瘤増大 (27×18×15cm) が出現した.収縮期血圧は60mmHgで,輸液,輸血を行いつつ,緊急血管造影を施行した.出血源の上殿,下殿動脈および内腸骨動脈に塞栓術を施行した後,左腎部血腫 (3,950g) および神経線維腫切除術を施行した.
症例2は53歳,男性.右肩~背部の腫瘤増大と疼痛が出現,緊急入院した.収縮期血圧は40mmHgとショック状態で,輸血にて改善したものの,血腫の増大 (30×37×35cm) が認められ,胸背動脈,肩甲下動脈等に塞栓術を施行し,右肩~背部血腫 (7,400g) および神経線維腫切除術を施行した.いずれの症例も再出血の徴候もなく,良好に経過した.

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