抄録
われわれは, 1973年1月から1995年12月までの23年間に胃平滑筋肉腫を22例経験し,臨床病理学的に検討した.
検討の結果,以下の特性が示唆された. 1)術前内視鏡所見として,粘膜潰瘍形成は良・悪性鑑別に重要であった. 2) Mitotic Index (M. I)が11以上の場合,腫瘍径の増大,再発頻度の増加を認めた. 3)全例にリンパ節転移は認めず,手術侵襲の増大に伴う治療成績の向上は認めなかった. 4)再発死亡の3例は,胃外型, 100mmを超える巨大腫瘍であり, M. Iは11以上であるという項目を共通に認めた.
現段階では,有効な化学療法はなく,腫瘍発見時,再発時における腫瘍の積極的な外科的切除が重要であり,必ずしもリンパ節郭清は必要ないと考えられた.