日本臨床外科学会雑誌
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空洞を形成し胃内腔と交通していた胃神経鞘腫の1例
関根 庸三島 吾朗玉崎 良久佐藤 浩一矢吹 清隆前川 武男
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1999 年 60 巻 1 号 p. 102-106

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抄録

症例は82歳,女性.心窩部不快感を訴えたため平成9年5月,上部消化管内視鏡検査を施行した.噴門部から体上部にかけて胃粘膜下腫瘍を認めたため精査加療目的で当院に紹介入院となった.上部消化管造影検査では噴門部から体上部にかけての小彎側に半円形の隆起を認め,胃の内部と交通する空洞を形成していた.腹部CT検査では同部位に約10cm大の空洞を形成する腫瘍を認め,腹部血管造影検査では左胃動脈の末梢分枝が血管増生し,腫瘍濃染を認めた.平成9年6月13日,胃平滑筋肉腫と考え胃全摘術を施行したが,術後の病理組織検査で神経鞘腫と診断された.今回腫瘍の内部に空洞を形成し,胃の内腔と交通していた極めて稀な胃神経鞘腫を経験したので報告する.

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