日本臨床外科学会雑誌
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術後鎮痛により胃潰瘍の発見が遅延した1例
横山 和子近江 禎子森 秀樹
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キーワード: 術後鎮痛, ストレス潰瘍
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1999 年 60 巻 1 号 p. 107-109

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抄録

持続硬膜外カテーテルを用いた術後疼痛管理は広く使用されるようになった.しかし,術後の疼痛反応を抑えることは,生体内の異常事態に対して生じる警告反応を隠蔽してしまう危険性を秘めている.
S状結腸癌,右鼠径ヘルニアにて, S状結腸切除術,鼠径ヘルニア根治術を施行した後,第7病日に術後ストレス胃潰瘍による吐下血を発症し,胃全摘術を施行した症例を経験した.初回手術の麻酔は胸部硬膜外麻酔と全身麻酔の併用で行い,術後の鎮痛目的で,硬膜外カテーテルに0.125%ブピカイン60mlとモルヒネ10mgを混合充頓し,携帯用持続注入ポンプ(バックスターインフーザー®, 0.5ml/h, 5日間用)を接続した.術後鎮痛は良好で,第7病日に大量の吐下血をみるまで自覚症状は全く無く,胃潰瘍が発見できなかった.

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