1999 年 60 巻 1 号 p. 154-158
魚骨による消化管穿孔は比較的稀であり,その術前診断は非常に困難である.最近われわれは, 3例の魚骨による消化管穿孔を経験したので報告する.
症例1はCT上肝下面に腫瘤を認め,胆嚢腫瘍も考慮し開腹術を行った.摘出標本で腫瘤内に魚骨を認め,横行結腸穿孔に起因する腹腔内膿瘍であった.症例2は超音波検査, CTにて魚骨を確認し,消化管穿孔による回盲部腫瘤と術前診断が可能であった.症例3は腹腔内遊離ガス像を認めたため緊急開腹術を行った.術中検索でダグラス窩に約7cmの魚骨が存在していたが穿孔部位は不明であった.
3例中2例は原因不明のまま開腹術を行ったが,ともにretrospectiveに画像診断は可能であった.